病理医不足や病理診断質の向上のために、画像解析技術を用いた病理診断支援が研究されています。病変部を集めて病理画像解析し、病理医による病理診断を人工知能に代行させようとの試みがありますが、当会では病変解析による病理医支援を主たるテーマとしております。下記は例題です。

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(1)申請者情報

所属機関:一般社団法人白亜会

研究責任者氏名:島田 修

TEL:042-578-9062  FAX:042-578-9250

(2)研究目的・達成目標

もっとも手間のかかる病理医業務の一つである手術材料病理標本における病変の自動マッピングについてAI技術を用いた研究を考えております。

手術材料では10-100枚の病理標本が作製され、病理標本すべてを顕微鏡で観察する病理医には多大な負荷が掛かっております。たとえば悪性腫瘍のばあい、その病変分布を描く(マッピング)必要があります。また所属リンパ節転移についても切除リンパ節における転移数の割合を臨床医に報告する必要があります。

自動ステージで標本を移動し静止画を撮影する方式のWSI装置では、対物レンズ40倍で撮影する場合500枚から1000枚が撮影されます(ガラススライド上に20×15mmの標本が載っているとして)。本研究ではこれらの、WSI合成前撮影画像をAI解析対象とします。

手順として次のような流れ(①②は学習、③は症例解析)を想定しております。

①症例当たり最大10万枚になる手術材料撮影画像について、画像クラスタリングを行う。

②次に、各クラスターについて病理医が画像分類を行いAIに登録する(たとえば悪性腫瘍を赤とする)。複数症例について画像分類をAIに登録する。

③AIは学習した画像分類を用いて、新たな病理標本について画像分類を行い、画像合成して病理標本上に表示する(悪性腫瘍は病理標本上に赤で表示される)。

(3)研究により得られる効果

このAIによる病理画像解析は、リンパ節転移、乳癌導管内進展、膵癌深達度等、に適用できます。もっとも手間のかかる病理標本観察についてAIを用いることは、多くの病理医にとって朗報になると考えております。

また、病理診断結果を患者に伝える際に、AIによる病変マッピングを提示することが可能になります。とくに断端陰性・陽性について画像で説明できるので病理診断結果について患者納得が深くなることが期待されます。

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(c)SHIMADA, DPJ(一般社団法人 白亜会), 2016/08/31